【完】爽斗くんのいじわるなところ。
爽斗くんを揺さぶりながら必死で懇願する。
「帰ろう、はやく!」
「えーやだ。俺、花火みたいもん」
「マンションからも小さいけどちょっと見えるんだよ! このままだと幽霊に引き寄せられちゃうかも……っ」
「泣きすぎかよ」
ぽんと頭に手がのって、
「つーか離れろ」とはがされた。
「や……離れないー……」
涙でぐちゃぐちゃな視界で、爽斗くんの服を握り締めて、本気で睨んでる。
こんなの……ぜったい許さないから。
もう絶対ぜったい許さないから……!
爽斗くんが唯一苦手な、あたしのお父さんに言いつけるから!
にらむあたしからふいっと視線をよそに向けた彼。
「……、そもそも幽霊なんているわけないじゃん」
「何言ってるの、そんなわけないよ……!」
「莉愛は何を根拠にそんなビビんの? 実際いまんとこ出てないのに」
「これから会ったらどうするの……!」
「どーもしない」
もうだめ、全然ダメ。
爽斗くんは昔からこういうの信じないんだもん。