【完】爽斗くんのいじわるなところ。

「……あーうざい。ラスト見逃すとか、なんのために花火きてんの」


「……もう花火どころじゃないよ」



爽斗くんのTシャツがしわだらけになりそうなほど強く握りしめて、
立ってるだけで精いっぱいなほど全方向が怖いあたしを


血も涙もない彼は、べりっとはがしてしまって。


かとおもえば、あたしの首すじに、彼の指が触れた。


「……すげー、脈はっや。どんだけビビってんの?」


指先はあたしの涙を拭ってそれから、髪を撫でて。


クリアになった視界には、
あきれっぽく笑う爽斗くん……。



「……じゃあ怖くなくなる方法とか、試してみる?」



その仕方なさそうな声が届いた、その時。





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