【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「つーか何おとなしくキスされてんの?」
「それは……」
それは、爽斗くんのことが好きだから。
なんて言う勇気、ぜんぜんなくて。
「……ほんと莉愛ってボケーッとしてるよね」
なにも答えないあたしの背中に爽斗くんの両腕が回された。
温もりにうずまって、目を見開く。
も、もうキャパオーバーだから……。
(キスは怖くなくなるためだとしたら、今抱きしめているのはなんのため?)
心臓がおかしくなりそうで、頭に酸素も十分に回ってなさそうで、
なによりもこの甘い雰囲気に呑まれて、聞いてしまおうと
空気を吸った、ちょうどその時。