【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「……ううん! あたし、いじめられてなんかないよ」



どんだけ慌ててんだよ。
そんな大きい目で上目遣いするとか馬鹿?



お前は、俺だけみてろ。




ーーガシ。



「んむ」



莉愛の顔面に腕を回して、
顔を隠しながら歩き始める。



「早くいこ。お前3組だって。俺は2組ね」


「え……、うん、ありがとう」


俺の腕の中でくぐもった声がマヌケ。

マヌケすぎるから離すと、ぷは、と息をする莉愛。



……、可愛い。


「莉愛ちゃん3組なの? 俺もだよー」


隣についてきていた優心にゆっくりと視線を移す。


「……なんて言った?」


「ん?俺も1-3って言った」


「……、」


ほんとクラス分けセンス最悪。
だれが決めたの?


こんなことなら女子高に行かせた方がよかったかも。



女子校に落ちてくれて、
これで一緒の高校だって
ひっそりと喜んだのを後悔し始めながら


俺と莉愛の間に割り込んでこようとする優心だけは
ぜったいに入れてやんないよとばかりに、


俺は莉愛の肩を抱きながら歩いていて。


「……さ、さや、とくん」


消え入りそうな情けない声が
可愛らしく聞こえてきた。



「……はっ、恥ずかしい……っです、」


顔を両手で覆う。
覆っても隠しきれてない、真っ赤な耳と額。


……へー。


いい顔するね?

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