【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「いや、なんとなくね」


口角を持ち上げる彼を、みつめる。


……優等生と言えば、たしかにそうかもしれない。


正直、高校に入って髪の毛を染めているのを見たとき、少し意外だったくらいだ。



優心くんの家は結構ルールに厳しいし、

髪を染めるなんて怒られるんじゃないかって、ちらっと思った。



「優心くんは優等生っていうより、明るくて爽やかで……クラスの真ん中にいるイメージだよ」


「えーなにそれ。うれしー」



屈託のない笑みだって、穏やかな雰囲気だって小学生のころと全然変わらない。



「なんか思い出したら懐かしいね」


「だねー」



のんびりと隣を歩く優心くんを見て、ふと思い出した。


優心くんの家って、門限にも結構厳しかったような……。



「そういえば、こんな夜に外に出ても大丈夫なの? 怒られない?」


「あー、塾行ってると思ってるんじゃないかな。信用されてるから疑われないと思う」


「ふふ。さすが優心くんだね」


「莉愛ちゃんこそ、口うるさい幼馴染には怒られない?」


「え? 怒られないと思うけど」



ただ優心くんと花火を少しするだけだし……。


煙で汚れてもお風呂に入れば、部屋は汚れないし、潔癖な爽斗くんも怒らないよね?



「……ま、今日は俺の番ね」



優しく細まる瞳に、こく、っと頷いた。


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