【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「や、優しいって……」


優心くんは苦笑しながら、消えた花火の先を水に浸した。



「だって莉愛ちゃんすごい嫌がらせとか悪口とか言われてるのに、なんで? サヤのどこが優しいの?」



「たとえば……爽斗くんって、放課後『一緒に帰ろう』ってあたしなんかのところに来てくれるでしょ? 多分、あたしがひとりぼっちだとか、心配してくれてると思うんだ」



「それは……、単にサヤが……。いや、ううん。続けて?」


「え? えっと。爽斗くんはあたしが友達と一緒にいるときはあんまり話しかけてこないけど、あたしが一人でいると、声かけてくれるんだ」


「莉愛ちゃんが寂しそうにしてるから、来るってこと?」


「んー……どうだろう。それはわからないけど、根が優しいからほっとけないって思ってると思う。偶然なんかじゃ説明つかないかなって……。それに、困ったときはいつも爽斗くんが来てくれるから」



最近なら、体操着忘れたら貸してくれたり、


こっちから言わなくても、なぜか困ったときに来てくれる。


……不思議だけど、昔からそうなんだ。

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