【完】爽斗くんのいじわるなところ。
やばい……怒らせた。
またなにかあたしは、地雷を踏んだんだ。
ごくっと唾をのみこみ、爽斗くんを見上げる瞳が動揺に揺れる。
その瞬間、爽斗くんの怒りを宿していたはずの目は、ひるんだかのように色を変えて。
「なに怯えてんの」
そして、気が抜けたように笑った。
「……俺が優心だったらよかったね」
物悲し気に言った彼は、両ポケットに手を突っ込んで先を歩き始めてしまって、慌ててあとを追いかける。
優心くんだったらよかったねって、どういうこと?
でももう聞ける雰囲気ではない。
爽斗くんの逆鱗に触れることは避けたい。
……けど、この沈黙はすごく気まずい。