【完】爽斗くんのいじわるなところ。
莉愛の瞳が揺れるのは
むかしっから怯えたとき。
「なに怖がってんの」
「……っ、え」
「つか、何でそんないちいち赤くなんの?」
「だっ、だって……」
「そのぶさいくな顔、落ち着くまでブレザーでもかぶっといて」
そう言って俺だけ抜け出した。
ブレザーかぶせられて、俺の誘導で歩く。
逮捕された容疑者みたいな恰好させられてんのに、
莉愛は俺に従ってる。
ペットより従順。
なんでもいいよ、俺のいうこと聞いてくれれば。
「サヤ……相変わらずだなぁ」
優心は苦笑いして、俺達の隣を歩いている。
なんでついてくるんだよって思いつつ、俺は言った。
「莉愛なんかにちょっかい出してんなよ」
すると優心は意味深に笑って、明るい声で言う。
「サヤって莉愛ちゃんの彼氏なの?」
「そんなわけないだろ」
「じゃあ、莉愛ちゃんの恋を阻む権利は、サヤにはないよねぇー」
ムカつくほど、上から目線の笑顔で返された。