【完】爽斗くんのいじわるなところ。
あたしのすぐそばを横切った人と、肩がぶつかって、ぐらっとよろけた。
「きゃ、」
「……ねぇ邪魔、どいて」
その人は生徒たちの輪を乱暴にかき分けて、張り紙をひっつかむように剥がしてしまった。
「……爽斗くん……」
その瞬間、彼の背中が……あたしには、ヒーローのものに見えたんだ。
彼は不機嫌な顔をこちらに向けると、バンと壁を叩いた。
「誰?こんなくだんないもん貼ったやつ。今すぐ名乗り出ろよ」
冷ややかな声がこの輪を凍り付かせて、
「名乗り出ないなら……死んでも見つけ出すまでだね」
ぞくりとするほど、悪者っぽい顔をする。
なぜかあたしの背筋までひやっとした……。
爽斗くんが……怖すぎる……。