【完】爽斗くんのいじわるなところ。
なお不機嫌な彼は紙をビリビリと破いてしまい、
窓の外から流れ込む、秋の風に載せて、紙吹雪を輪の上に振らせてしまった。
「……つーかこれを面白そうに眺めてるあんたらも、どーかしてるよね」
冷たい声に、誰がなにを言い返せるわけがない。
頭に落ちてきた紙吹雪を払いながら、気まずそうに視線をそらす生徒たち。
「ねー莉愛」
「は……はい」
「こんなこと書かれて、お前何で黙って泣いてんの?」
「え……だって」
「だってじゃない。身に覚えがないなら”違う”って言えばいいだろ」
「……うん」
「”うん”じゃねーよ。どーせお前にそんな自己主張ができるわけないくせに」
……う、どっちなの。
爽斗くんは輪の中を乱暴にぬけて、あたしの腕をひっつかみ、強く引いて歩いていく。