【完】爽斗くんのいじわるなところ。

「守るとか、そんなんじゃないけど。俺潔癖っていったじゃん?」


首をかしげる爽斗くんは、あたしの手を離し、向き合う。


「ほかの誰かに俺の縄張り荒らされたくないんだよね」


「……どういう、意味……?」


「なんでわかんねーの? バカなの?」



……っ、馬鹿、だけど……。


「でもわかりづらいよ、どういうこと?」



眉尻を下げ、情けなく聞くあたしに、彼は呆れっぽく言った。



「俺以外に泣かされるお前なんか、見たくないんだよ」



コツンと頭を叩いて、過ぎ去っていく。


頬がゆっくりと熱くなっていく。


……爽斗くんは、やっぱり意地悪で、だれよりも優しい。


そうだよね……?


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