【完】爽斗くんのいじわるなところ。
『優心、先生はまいたから、裏門から逃げろよ。俺は正門に行く』
『いや、俺も正門にいくよ。莉愛ちゃん待ってると思うから』
『何言ってんの? あいつのこと守ったの俺だよね?』
ぐっと、唇を噛みしめた。
結局ひとりで裏門から出て少し歩いたところで面識のない女子生徒に声をかけられた。
『さっき……藤光莉愛ちゃんと二人でいましたよね?』
『え、うん。莉愛ちゃんの友達?』
それにしては、一緒にいるとこ見たことないけど。
『……夏祭りは爽斗くんと莉愛ちゃんが一緒に行ってたのに、なんで優心くんとも二人で過ごすんですかね』
その声が、よくない感情……例えば嫉妬だってわかったけど。
『それは莉愛ちゃんしかわからないよね』
白々しく、フォローもしなかった。
もしこれがもめごとになるなら、俺がそのとき救い出せたらいいや、って思いながら立ち去った。