【完】爽斗くんのいじわるなところ。
そして、あの日の放課後、廊下いっぱい野次馬で埋まるような人だかりを見て、俺は小走りで駆け寄った。
廊下の壁に貼られていた貼り紙を読んで、それから莉愛ちゃんに視線を移した。
俺はまず莉愛ちゃんのところに行こうとしたんだ。
呆然と見上げるその目を隠してあげようって。
そんな俺の背中は、かなり強引な力で、強く押されてよろけた。
サヤだ。と、認識した直後。
『誰だよ、こんなの貼ったやつ』
サヤは他に見向きもせず、まっすぐに壁に手を伸ばし、紙をはぎ取った。
『……名乗り出ないなら、死んでも探し出すまでだよね』
あと一歩、遅かった。
いや、結果的になん十歩も遅かったのかも。
だって、サヤはその日のうちに犯人を見つけ出したんだから。
悔しいに決まってる。
俺が莉愛ちゃんのこと守るはずだったのに。