【完】爽斗くんのいじわるなところ。





……貼り紙騒動から数日後。


まだまだ真夏日の延長みたいな気温なはずなのに、肌寒いような。


教室の冷房は効きすぎだし……。


ぶるっと身振るいしながら冷房のきいていない廊下に出ると、莉愛ちゃんがちょうど通りかかった。


「……優心くん、おはよ」


控えめな声に対して、笑顔で返す。


「おはよー莉愛ちゃん」


「なんか……顔色悪くない? 具合悪い?」


心配そうな上目が俺を向く。


「あー、なんか寒いけど……それ以外は特に」


「今日は結構気温高いのに……。あの、保健室に行ってみない?」



控えめな誘い方に、ふっと笑みがこぼれる。


……莉愛ちゃんらしい。


でもこういう莉愛ちゃんを作ったのがサヤだって思うと、複雑だよね。


莉愛ちゃんが自分に自信がないのなんて、全部サヤがいじめたせいなのに。


……なんで。サヤがいいの?


俺にはわかんない。

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