【完】爽斗くんのいじわるなところ。
莉愛ちゃんの付き添いのもと、たどり着いた保健室。
「……さ、38度もあるよ。お家の人に迎えに来てもらおう?」
「来ると思う?」
「え……」
俺、何困らせてんだろ。
莉愛ちゃんは俺の家のことよく知ってるもんね。
ずるいかな。
利用しちゃ駄目かな。
ぼーっとする頭で、俺は莉愛ちゃんに手を伸ばした。
「……一緒に居て」
両手で抱きすくめた小さな体はトクントクンと脈を速めていく。
「……ゆ、優心くん……、あの、わかった、から」
そっと体を離されて、赤らんだ困り顔は俺を見つめている。
「……じゃあ、あたしがお家まで送ろうか……?」
「そしたらサボりになるけどいいの?」
「そんなのは全然大丈夫……、具合の悪い優心くん優先だよ」
平気で授業さぼるのだって、初めてじゃないからできるんだよね。
夜の学校に侵入したのだってそう。
サヤが教え込んでるんだよね。そういう悪いこと。
……俺にはできないこと。