【完】爽斗くんのいじわるなところ。

「まぁいいや。コップとか下げるから、昼飯、何食べたいか決めといて」


そう言って踵を返した直後。


がばっと両手が俺の腰にまわった。


「わっ!」


思わず短い声が出てしまい、しがみついた莉愛をぎょっとしながら見下ろす。



……莉愛が、号泣してる。


「は、……はぁ? どうした?」


「……行かないで」


ぐずぐずと泣いている莉愛は、まるでガキのころと同じ。


熱で頭まわってない、とか?


左胸がドクドクと波を打つ。



「行かないから……、いますぐ離して」



赤面していく自分をこの号泣女に悟られたくないから、顔をそむけた。


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