【完】爽斗くんのいじわるなところ。

「え……」


「泣き虫で消極的で人の意見に流されてばっかりの性格だと、人でも殺すわけ?」


「え!?」


「答えろよ」


さっきまで優しく振れていたはずの頬が。
ガシっと掴まれた。


「こ……殺しません」



「小さい頃からそこらじゅうで刷り込みみたいに”明るいあいさつ”だの”はきはきしゃべりましょう”だのうるせーんだよ。明るいやつが正義だと思う? もうこれ一種の洗脳だろ」


「……へ」



不機嫌な瞳が、きゅうに、穏やかになっていく。



「別に、そのままでいいじゃん。それが莉愛なんだから」



とくん、と恐怖を忘れた心臓が温かく鳴った。


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