【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「さっ。爽斗く……ん」
――トン、背中に壁の感触が当たって、見上げる視界には、
表情なんてないのに、優しく見える彼があたしを見下ろしている。
途端にドクドクとなる心臓。
なにもかもが自然の流れのように、あたしたちは。
瞼をおろし、キスをした。
手を拘束されたまま、こつんと額を寄せ合って、小さな声で彼は言う。
「……根暗って、俺的に変換すると、”人を嫌な気持ちにさせるのが怖いビビり”」
「……うん」
「触れない優しさみたいなもの、俺は持ってないから」
「ん、」
チュ、と頬に触れるキスが。
彼の紡ぐ言葉が。
ドクドクと心拍数を上げていく。
「だから俺は、莉愛の根暗なところって……嫌いじゃない」