【完】爽斗くんのいじわるなところ。
パッと、手首が軽くなった。
爽斗くんがくるりと踵をかえす瞬間、赤らんだ頬と耳が一瞬見えた。
「じゃーね」
ペンキを2缶手に取った彼は、用務室を出て行ってしまって。
残されたあたしはへなへなと、床にくずれ落ちた。
ドキドキと鳴る心臓と、熱い体。
……爽斗くんが触れたところが熱い。
それと、心の奥のところ。
”莉愛の根暗なところって……嫌いじゃない”
胸に手を当てて、一生忘れたくないって思った。