【完】爽斗くんのいじわるなところ。

ドキドキの文化祭



そして、文化祭当日が来た。


うちのクラスでは、喫茶店をするんだけど、全員がシフト制でウエイトレス、ウエイターを一度はしなければならない。


着替えを済ませた仁胡ちゃんはメイクもいつもより華やかで、メイド服もとっても良く似合ってる。


学校の決まりで、メイド服はロング丈で、短いよりはずっといいんだけど。


あたしには全然似合っていない。


「……は、恥ずかしくて、外なんて歩けないよ」


「何言ってるの莉愛ちん。可愛いよ? 行こ!」


仁胡ちゃんの口調は楽しそうなのに、ぐずぐずして水を差すわけにはいかない。


だから勇気を振り絞って廊下に出ようとしたとき。


「莉愛ちゃん、仁胡ちゃん! これ、みんなで髪につけようよー!」


そう言って手渡されたのは、メイド服と同じネイビーのリボン。


ベルベットのリボンで髪を結んで、よけいにあたしらしくなくて、恥ずかしすぎる……。


でも、みんなで楽しまないと。


「用意してくれてありがとう」


「いーえ、みんなで写真とろー!」


え、写真まで……。
すみっこで控えめにピースをして、ようやく廊下に出た。


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