【完】爽斗くんのいじわるなところ。
オーダーをとって、調理担当のところまで戻ると、


「大変だったね」「怖くて行けなくてごめんね」と女子たちにねぎらわれたのち、爽斗くんについて興奮気味に聞かれた。


「やっぱふたりって付き合ってるの?」


「ううん……まさか」


「そうなんだ。さっきの爽斗くんかっこよかったね。莉愛ちゃん、好きになっちゃうでしょ!」


「そんな……ことは……」


「あれぇー? なにしてんの? コーラ追加買ってきたよ~」と仁胡ちゃんが教室に戻ってきた。


「どしたの莉愛ちん? 泣いた?」


「あ、これは、ちょっと」


「なにがあったの? 大丈夫?」


「おーい仁胡ちゃん、莉愛ちゃん。お客さんは言ったからオーダーお願い」


「はーい! とにかく莉愛ちん、無理しなくていいし、なんかあったら言ってよ?」


「うん。にこちゃんもね」


「おう!」



仁胡ちゃんの思いやりに、また涙腺が緩みかけるなんて、板についた泣き虫だ。


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