【完】爽斗くんのいじわるなところ。

――トン。


「ッ!!」


突然肩を叩かれて思いっきりびくっとしてしまった。


「お久しぶりぃー、藤光さん!」


なんとそこにいたのは……以前爽斗くんにラブレターをわたした蘭子さんだ……。


「藤光さんと、そのお友達さん。あたしも一緒にはいってもいい?」


きらきらとした笑顔で聞かれて、「うん」と頷きかけて仁胡ちゃんに確認する。


すると「いいよー」とふたつ返事だ。


「やったー♪」


でも……どうしてあたしたちと一緒に入りたいんだろう。


「爽斗くんって人見知りじゃん? 噂だと藤光さんと一緒の時は人見知りが溶けるって聞いて! それにお化け屋敷って吊り橋効果ありそうじゃん!」


「……? 人見知り?」



そんなことないと思うけど。首をひねるあたしの横で、仁胡ちゃんはポンと手を叩いた。


「あー、彼って人見知りだったんだ。なるほどー」


なぜか、うんうんと納得している。


人見知りだと思ったことなんかないけどな。
でもあたしの知らない爽斗くんもいて当たり前だよね。

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