【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「よく来れたね。うちのお化け屋敷怖いって好評だし、逃げると思ったのに」
「来るよ……約束したもん」
「お前って従順」
爽斗くんが時折、壁を叩き鳴らすと、段ボールの向こうからの悲鳴があがる。
「実はこの先にね、恐怖ポイントが4つあるんだけど、それはもう泣く子もいるくらいのクオリティ」
「……え」
「このお化け屋敷作ってる最中、何回も心霊現象が起きちゃって、作るの大変だったんだよね」
「し、し、心霊現象……?」
う、うそでしょ…?!
「まー、それも含めて、楽しんでいったらいいよ」
そう言ってあたしの頬を上に向かすと、
――ちゅ、とくちびるが重なって。
「……っ、な、なんで……キスするの」
「――嫌がらせ。今日の分」
にやりと口角を上げた彼は、あたしを壁の外にポイっと追い出した。