【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「てか莉愛ちんって、やたら可愛いし彼氏いるの?」
か、可愛いって……、社交辞令。
あたしはブンブンと首を横に振って
「いないよ……っ」と返した。
あたしに彼氏なんているわけないよ。
そんなこと聞かれるのも
恥ずかしいくらいありえないよ……。
「へえー。ユーシンは? イケメンだし、なんかこなれてるし、めっちゃモテそうだけど」
「俺もいないよー」
そう言いながら、
肩に回された腕に、
ぐいっと引き寄せられて。
「ひぁ、」
バランスがくずれる。
優心くんの片腕の中、
トン、と彼に体をあずけて
鼻先をかすめる、
香水みたいな大人っぽい匂い。
見上げると優心くんと視線が絡んで、
「好きな子はいるけどねー?」
そう、いたずらっぽく笑いかけられている。