【完】爽斗くんのいじわるなところ。

「え!? どうして、待ってよ……!」


待ってくれるわけがないと思いながら彼を止めると、


今日は足を止めて、振り返ってくれた。


月明りの中。


圧倒的上から目線があたしに落ちてくる。



「いや、もういい。莉愛も来て。今すぐ」


「……う、うん?」


「……寝れないんだったら、月でも見よって言ってんの」


「……‼ 見ます……!」


思いがけないお誘いに跳ね上がるようにベッドから降りて、ベランダに出た爽斗くんのところまで駆け寄る。


すると彼はぽこっとあたしの頭を叩いて。



「……もっとこっち来れば」



そう言われて、ドキドキしながら寄り添って見上げる空。金色の満月。

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