【完】爽斗くんのいじわるなところ。

藤光莉愛 SIDE




お昼休みに中庭で寝ていた爽斗くんを起こした方が良かったかな?


爽斗くんって、眠りが深い方だし……起きられたかな?授業ちゃんと出れているかな?



心配でそわそわしながらも、4時間目の授業を終えた。


お節介だなっておもいつつ、様子を見に隣のクラスをのぞいてみる。


……いない。



「あれ? 莉愛ちゃんどっかいくの?」と、優心くんが後ろからにこっと聞いてきた。


「あ……うん。中庭に、忘れ物して……」


「なんだ、そっか。あまりに急いでるからまた何かサヤの命令なのかと思った」


「あはは……」


「いってらっしゃーい」


「いってきます」


手を振って、廊下を早足で歩いた。


階段を一階まで下りて、中庭に続く扉をあけると、春みたいに心地いい風が吹き込んだ。


よかった。もし寝ていても、この気温なら風邪はひかないよね。


穏やかな気候に包まれて、あたしはのんきに歩みを進めていた。


……これが進んじゃいけない道だとも、気づかずに。


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