【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「……はー、たのしかった。でももういじめんの飽きちゃった」
莉愛に借りたカーディガンを片手に、泣いているあいつを見下ろして、冷ややかに声を落とす。
……まぁ、
なるべく、愛を込めてね。
「ーー……だから、もうお前なんて要らない」
バサッと投げ捨てたカーディガンが、ふたりの頭を隠す。
そうやって莉愛たちの視界を遮ったあと、俺の目から、涙が落ちた。
すぐに踵を返してしまえば、これで終わり。
「じゃーね、お幸せに」
廊下を出たと同時に、莉愛は涙声で叫んだ。
「待って……っ!! 爽斗くん……!」
泣いてる莉愛を見捨てて置いていくことなんか、慣れてるはずなのに。
……胸が苦しくて、振り返りたくて、しかたなかった。