【完】爽斗くんのいじわるなところ。


6時間目の授業なんて、聞いても頭に入るわけなかった。


これで、莉愛と優心は両想い。

俺は、あいつとは終わり。



ちょっと完璧にお膳立てしすぎたかもね。


……そのせいか、むしゃくしゃするんだけど。



バイトのない日だった俺は、憂さ晴らしにゲーセンに寄って、21時を回った瞬間店員に追い出された。


「はー……」


帰りたくない。なんで隣人なんだろう。


そうはいっても、帰るしかなくてマンションのエントランスをくぐった。


エレベーターの▲ボタンを押そうとしたその時。



「さっ……爽斗くん!!!」


ドキリと心臓が跳ねた。


俺の背中を掴んだ相手なんて、見なくたってわかる。


この涙声、莉愛だ。



……なんで? なに待ち伏せしてんの。



もうおわりにしたじゃん。



「離せよ」


なんで近づくの。


こっちがどんな思いでお前のこと手放そうとしたか、わかってよ。


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