【完】爽斗くんのいじわるなところ。
小さい頃から、


なにかを伝えなきゃいけないタイミングで、言いよどんでしまう莉愛を見かけるたびに、


俺はすかさず、莉愛の声を代弁してきた。



――『みんなで……北風と太陽、練習しようよ……。先生に怒られちゃうよ』



聞いてんのも可哀想になるような弱い声は、俺がほとんどかき消してさ。



――『適当に練習して帰ろーよ。サボったやつは俺の代わりに北風やってねー』



そういうお節介をやきすぎたせいで克服できなかったんだろうね。


ざまあみろ、根暗。



もし俺がいなかったら、莉愛は今ごろ、もう少しはマシなコミュ障だったんだろうな。



あー……ムカつく。


さっさと、片付けたいんだよね。


ふたりまとめて。



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