【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「爽斗くん、僕はきみをそんな風に育てたんですかね……?」
そうして長い説教が始まった。
かれこれ30分。
足が痺れて、もはや感覚がない。
鋭い眼光は俺達に突き刺さり続けて、的確に射止める冷静な説教は、どんどん空気を重くしていく。
「僕が教えた”本当に強い男”が何なのか、きみは忘れてしまったんですか?」
「いや、覚えてます。人間味のある、温かい……人です」
「それが心に響いてきみは暴力をやめたと思ったんですけどね。それがこんな愚かなことをするとは予想外でしたね……」
真剣な目が諭すように、俺を見つめる。
「目の前のものに誠実でありなさい。それは巡り巡ってぜんぶ君に帰ってくるものだから」
「反省しなさい」と地響きのように続く声に、ぞっと背筋が冷えるのは、ほとんど条件反射だ。
「おじさんは、ちゃんと爽斗くんのことを見ていますからね」
この声がすっと心に届くのもまた、条件反射なんだろう。
「はい……」