【完】爽斗くんのいじわるなところ。
言葉は、間違ったら、こんなふうに人を傷つける。
だから、あいまいな言葉が好きだった。
目の前の人に不誠実に言葉を濁して、逃げている方がずっと、安全だから。
「ご……ごめんなさい。失礼なこと言っちゃって……」
やっぱり、こわくなってしまった。言わなきゃよかった。
冷や汗が流れていく。優心くんのこんな冷たい表情は初めて見る……。
ハッキリ言わなきゃいけないって思うたび、
――『黙って歩いてろ、根暗』
その言葉に、救われていたなんて……甘やかされていたなんて、どうして今気づくんだろう。
……爽斗くんの意地悪は、いったい……どこまでが、あたしのためだった?