【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「そーいえば、莉愛ちゃんはそのまんまでいいよーとか、上手なネガティブでいいじゃん、って言ったあれはね。
サヤの受け売りであって俺の言葉じゃないよ。莉愛ちゃんが影口言われてた時に、同じこと言ってたの思い出しただけ」
そんな言葉も、俺が言ったんじゃ、きみにはたいして届かなかったけど。
「……爽斗くん、が……?」
「そう、だから俺は……別にそんなこと思ってない」
莉愛ちゃんには、もっと自信もって笑っててほしいって思ってたよ。
そんなに、うつむかなくていいって。
サヤにいじめられて、出来上がったその可哀そうな人格も、サヤのことも……全部捨てて。
莉愛ちゃんのことが大好きなサヤから、きみを奪いとってやりたかった。
ただ、それだけ。
「……俺が、本気で莉愛ちゃんのこと好きになるわけないじゃん」
その涙さえ、きっと、俺には向いてくれないんでしょ。