【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「あのっ、聞いてください!! さ……っ。爽斗くんは! 強くなりたいといったあたしに……、ボクシングを教えてくれただけで!!」


……こんな大声で、嘘を吐く途中だった。


「……もーいいよ」


後ろから、ふわりと口を押えられてしまった。


そして一度静まり返った廊下に、優心くんの声が響く。


「……普通に、俺がサヤを殴ろうとして、サヤをかばって飛び出した莉愛ちゃんに当たったんだ」



その声は廊下にざわめきを巻き起こした。



結局、先生にあたしと優心くんは呼び出されて、あたし達は正直に流れを説明した。


「雪本くんは無実ってことなのか?」


「はい……すみませんでした」


「……っ、たく……。深谷くんは、停学になると思うけど、いいな?」


「はい」


まっすぐ目を見据える彼を見るのが苦しかった。


停学なんて、優心くんのご両親……どう思うんだろう。


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