【完】爽斗くんのいじわるなところ。
街中を金色に照りつける夕方の中で。



彼は、迷いない声で言った。


「……俺が、恋しいって思うのは、藤光莉愛だけ」



……え……?


思わず目を瞬く。


「あ、あたし……!?」


がばっと見上げると、そこには、真っ赤に頬を火照らせた爽斗くんがあたしを見ていて。


「……バカ、俯け」


反射的に俯いたあたしは、「ほんと?」と泣きべそ声で聞き返す。


「ほんと。つーか俯くのやっぱ中止」



顎をそっと持ち上げた彼の黒髪が、金色の夕日に輝かされて。


爽斗くんは思わず息をのむほど、優しく笑った。



「……本気で好き。お前のこと」



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