【完】爽斗くんのいじわるなところ。
……い、いやがらせ?
「どういうこと? ハッ…好きって嘘!?」と半泣きで爽斗くんを見上げたら手刀か落ちてきた。
「好きなんて嘘で言うかよ」
「……はぁ……、よかった……」
それから何やら2人は小声で話し始めた。
よく聞こえないけど、きっと男同士のはなしなんだろう。
「今日の反応見てる限り、どーみても優心、莉愛のことすきだよね」
「はぁ? だから俺は、お前にムカついて」
「俺にムカついたのがキッカケとかは知らないけど……プッ、そんなダバダバ泣いてんのに、莉愛を好きじゃないって何? 嫉妬してんでしょ? 俺なんかに取られて悔しいんでしょ?」
2人の声は、聞こえはしないけれど。
――ニヤリ、
爽斗くんは、なんて悪い笑顔をするんだろう……。
「……く」
優心くんは悔しそうに顔を赤らめていて……。
ど、ど、どうしよう……? 喧嘩?
あわあわと二人に視線を往復させるあたしの頭が、がしっと掴まれてしまった。
爽斗くんの手だ。
そして、あたしを引き寄せた彼の胸にぽすっと抱かれて。
「……莉愛を殴った罰だよね。ざまあみろ」
そう言いのけた。
ドキドキしている間に、爽斗くんはあたしを放してしまい、
代わりに優心くんの肩に手を回す。
「次はどんな嫌がらせしよっかなぁ」
「……バカサヤト」
ふたりは、肩をゆらして笑っている。
あんな2人は久しぶりに見る。小学生の頃みたいだ。
夕日に溶け込む二人の背中がやけに眩しくかんじた。