【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「あ……あ……。何してるの、爽斗くん!!」
新品になおしたばかりなのに、やっちゃった!
目を真ん丸にして青ざめるあたしを、爽斗くんは余裕たっぷりに見下す。
「……だって俺、お前に会いたくなっちゃった」
新しい穴を潜り抜けて、「よいしょ」とあたしのもとに来た爽斗くんは、
両手を広げて、あたしに言う。
「今、俺に飛びつきたいっしょ?」
なにもかも見破る幼馴染が、ふっと勝ち誇ったように笑っている。
そうなるとあたしは、素直に頷くしか道はない。
「うん……っ」
その胸に飛び込んで、甘い香りに包まれる。
「莉愛も俺が好きとか、物好きだよね」
呆れっぽい声や
触れ合うとこ全部にドキドキと心臓が暴れている。
「そんな……」
「褒めてんの」
褒め方のセンスが絶望的で
優しさを意地悪で隠す彼が……あたしは、大好きだ。
「俺のどこが好きなの?」
そんなの決まってるよ。
優しい、優しい、きみの一番いいところ。
「……爽斗くんのいじわるなところ」