【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「仁胡ちゃんはいい子だからアドバイスするけどさー、あのイケメンくんはやめといたほうがいいよ」
会話にさっと入ってきたのは、お隣の席の優心くん。
「なんで!?」と目を見開く仁胡ちゃんに、
優心くんは困ったような笑顔を向けた。
「だって、ねー? 性格に難ありというか、まぁそのうちわかるよ」
「へ?」
……って、ふたりの会話に気を取られてた。
しびれを切らした爽斗くんが
こっちに歩いてくる。
慌てて止まっていた手をうごかしていると、
「……とろいんだけど」
背後から、ずんっと頭の上に重さがのしかかってきて、前に倒れそうになった。
「……さ、爽斗くん、」
後ろに立つ爽斗くんの腕が
あたしの頭に乗っかってる……。
あ、爽斗くんちの柔軟剤の香りがする……。
くちびるを噛みしめて、ドキドキに耐えていると、
「そんな赤くなってないでさ、」
バカにするみたいな意地悪な声とともに
むに、と頬がつねられる。
「手ぇ動かしなよ。置いてくよ?」
……爽斗くんのせいで
支度しづらいってこと、気づいてほしい……。