【完】爽斗くんのいじわるなところ。
落ち込みながら教室に戻って、次は英語の時間。


教科書、ノート、筆記用具に眼鏡ケース。
それを机の端に揃えたら



優心くんが「見せて—」って
眼鏡を手に取った。


優心くんが明るくて無邪気なおかげで
ちょっと心が晴れていく気がする。



あたしの眼鏡をかけた優心くんは
すぐに外して、目をぎゅっと閉じてしまった。


「うわキツー。莉愛ちゃんって視力どのくらいなの?」


「両方あわせて0.3くらいかな」


「そんな視力で裸眼でいんの!?」


「え……だめかな」


「うん、危ないっしょ」


差し出された眼鏡をかけると、
突然世界がくっきりと明るくなって、
鮮やかになって。


ちょっと居心地が悪い。


「人の顔がよく見えると緊張するから……」


「あー。莉愛ちゃん緊張しぃだもんなぁ」


納得したみたいに、
手元でペンをくるりと回す優心くん。


あ……。
馬鹿にしないんだ。


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