【完】爽斗くんのいじわるなところ。
そう思って目の前に落とされた教科書を見たら
「数学A」って書いてあることに気づいた。
……これだ!
あたし、数Ⅰじゃなくて数Aを渡しちゃったんだ……!
「ごめん、こっちだったね……!」
すぐに渡したけど、
爽斗くんの機嫌は損ねたまま。
「どうも」
爽斗くんは不機嫌に受け取って
不機嫌に廊下へと歩いていく。
「待っ、爽斗くん……!」
「……は、なんか用?」
と振り返られて、あたしも思った。
なんで呼び止めちゃったんだろう……
用事なんてないのに……。
「あの……ばいばい」
「はぁ?」
うざったそうに顔をしかめて、
爽斗くんは廊下へと歩いていく。