【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「……あ、うん」
「やっぱり! いいなぁー幼馴染なんだっけ?」
きつそうに見えたけど、
意外とフレンドリーな雰囲気でほっとする。
「うん、幼馴染だよ」
「へー、あんな超イケメンと幼馴染とか漫画みたーい」
女子生徒は、鏡の方に身を乗り出して
赤いリップを唇に塗りながら、
「爽斗くんて彼女いるの?」
って……。
なんかこの質問
高校に入ってから結構聞かれてる気がする。
仁胡ちゃんや、
そのほかの知らない女子にも
数人から聞かれたなぁ。
「いないと思うよ」
でもあまりに聞かれるから
今度ただしい情報を
爽斗くんに確認してみようかな。
……ちょっと怖いけど。
だってもしも彼女がいたらって考えたら……。
「蘭子なにしてんの~? リップとかいいからはやく行こーよー」
「ごめーん、今行くー! ありがと、藤光さん!」
蘭子さんというらしいその子は、
クラスで一番派手なグループの中に入って
更衣室を出て行った。