【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「え?なんで……? お隣なんだから、さっと渡してくれるだけでいんだよ?」
「あたしが渡すのはできると思うけど……。こういうのは自分でしないと」
「なにそれ……? わかった。藤光さんも爽斗くんのこと好きなんでしょ!?」
きつい視線を向けられて、
さらに図星をさされて
ドキッとした。
「……ちがうよ……」
「好きじゃないなら、協力してくれてもいいじゃん!」
荒っぽい声にビクビクしながらも
言わなきゃいけないことだから勇気を振り絞る。
「そうじゃなくて……」
もしあたしが爽斗くんに
預かったラブレターを渡したら、
たぶん爽斗くんは
読まないんじゃないかって思うんだ。
そういう事例があったわけでもないし、
理由なんかないけど。
……本当になんとなくだけどそう思う。
「爽斗くん、こういうのは本人から直接貰いたいと思う」
他の女子との恋を
応援したいわけじゃないのに。
あたしがしてるのは
たぶん適切なアドバイスだ……。
「……そっか、それもそうか」
ほら。
こんなふうに納得されて
後悔しはじめるくせに。
アドバイスしたくせに後悔してしまうような
最低な自分にも、落ち込む。