【完】爽斗くんのいじわるなところ。
あたしも教室に戻ろうと少し歩いた廊下で
さっきまでは柱で死角になっていたところに
人影を見つけて。
そこで壁に寄りかかりながら
腕組みしてる人が誰なのか、認識した瞬間、
悲鳴を上げそうになった。
「……あ、あ、爽斗くん……」
いつからそこに……?
もしかして、聞いてた……!?
いや、距離は結構あるし、
聞こえてないよね……?
「……じゃあ、お先に」
小さく会釈してそそくさと通り過ぎようとしたら
ひょいっと長い脚を伸ばされて
あと少しで転ぶところだった……!
「……危ないよ……っ」
「ねえ、莉愛、」
真っ暗なオーラを放つ爽斗くんが
壁から背中を離して、あたしと向き合う。
ななな、なに……?
強い瞳があたしを睨んでる。
さらりと揺れる黒い前髪。
うんざりした様子で首をかしげる、爽斗くん。
「お前どんな立場で他人の恋愛に応援なんかしちゃってんの?」