【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「ど……どんな立場って……?」
っていうよりも、
蘭子さんとの話、聞かれちゃってる……。
蘭子さんに申し訳ないと思いながらも
……爽斗くんが尋常じゃなく怖い。
詰め寄られては後ろへ下がり、
壁に背中がついた瞬間、
イラついた様子の爽斗くんの肘が
あたしの顔のすぐそばの壁にぶつかって。
「なにアドバイスとかしてんの? 俺そんなこと頼んだっけ?」
頼んでない、と心のなかで返すことしかできない……。
ごく、と喉が鳴る。
茶色い瞳の虹彩。
それに映るあたしまで見えるくらい、
……近い……。
心臓はバクバクと速まっていく。
「何が”直接手渡せ”だよ」
「でも……待って近い、」
ドン、と体を押し返して、おそるおそる見上げると。
いまだ爽斗くんの目は不機嫌で、