【完】爽斗くんのいじわるなところ。
慌ててリボンを結びなおして、家の廊下で
爽斗くんを追いかけるように早足で歩く。


爽斗くんの靴はうちにいくつもあるから、
そのまま学校に行くんだ。



「サヤちゃん、高校でも莉愛のことよろしくね」


と、リビングから顔を出したお母さんに


「はーい、行ってきます」


って爽斗くんが愛想よく答えて、あたしたちは家を出る。



爽斗くんは意地悪ばかりするのに
なぜかあたしと一緒に登校してくれる。

たまに下校もしてくれる。



「待って、爽斗くん」


「歩くのだるいし今日チャリで行かない?」


「でも入学式の日は徒歩でって……」



「へーきへーき」


「でも、怒られるんじゃない……? 怖いのやだよ?」



「……何ビビってんの? 俺がいるだろ」



不機嫌な目があたしを貫く。



「莉愛はボケーっと、俺の隣にいとけばいいんだよ」



そういうこと、言われると
……ドキドキするの、変かな。




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