【完】爽斗くんのいじわるなところ。
爽斗くんの部屋は、誰もいない。


「おじゃま……します」


一歩、踏み込んだ時
机の上に置かれた封筒が目に入った。


「……あ」


くすみピンクの封筒。
可愛く崩れた文字で”爽斗くんへ”って……。


……ラブレター受け取ったんだ。


手を伸ばしかけたそのとき


——ガチャ。
とドアが開いて、部屋に見えた長身細身のシルエット。


「爽斗くん……!」


「……プライバシーの侵害」



気だるそうな様子で
後ろ頭を掻きながら部屋に入ってくる爽斗くんは


机の上に手を伸ばして
ラブレターをあたしから遠ざけた。


「ご、ごめん! 読もうとしたわけじゃないの……」



無意識に手が伸びてただけで。
って、それじゃただの言い訳だ……。


謝りながらも慌てているあたしに
爽斗くんはあきれ声で言った。



「てか……何その恰好?」



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