極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
25話「大嫌いな嘘」
25話「大嫌いな嘘」
夏の太陽は早い。
もう少し夜でいさせてくれてもいいのに、と思いつつも畔は眠気眼のままボーッと椿生の寝顔を眺めていた。
長い睫毛とシュッとした鼻先や顎。肌もとても綺麗だ。そんな整った顔を見つめながら、この人が私の恋人なんだな、と改めて信じられない気持ちになった。
規則正しい寝息と彼の体温を肌越しに感じる。畔は昨日そのまま寝てしまったようで、何も着ていない。昨夜の事を思い出すと、顔から火が出そうな思いだった。けれど、彼と1つになれた、近い関係になれたと感じることが出来、畔は幸せの胸が苦しくなった。今まで感じたことのない感情に戸惑いながらも、その感覚が愛しくて仕方がなかった。
(私を見つけて、そして愛してくれてありがとうございます)
畔は我慢出来ずに彼の頬へと手を伸ばした。
昨夜の夜の空気のせいか、少しだけ肌が冷たかった。畔は指を滑らせ、彼の頬を手のひらで包むように触れた。いつも彼がしてくれる触れ方だ。こうされると、いつも気恥ずかしくも、心地よくなってしまう。けれど、真似してみてわかった。こうやって触れる事がどこか子どもを愛するように、大好きな人を可愛がり、そして自分の手の中で笑って欲しいな、と思うのだ。
そんな事を思っていると、手の中の彼の瞼がピクッと動いた。
「んっ………。畔……もう起きてたのか」
椿生は目を擦りながらそう言うと、そのまま畔を見つめた。