極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました

 『普段通り友達と一緒にいた時、突然叶汰が怒ってこちらに来たんです。私は驚いたんですけど、私に怒っているのではなくと友達に何か怒鳴っていました。私は口の動きで何と言っているのかまだわからなくて。すると、私の友人達も叶汰に何かを言い合い始めて口論になっていて……』
 
 当時の事はあまり思い出したくもないが、それでも話すとなったら記憶が蘇ってきてしまう。一呼吸置いた後に、畔はその時の話を続けた。

 『その後、叶汰に無理矢理腕を引かれて、友達から離れるように講義室を出ました。叶汰に聞いても、無視してどんどん歩いていってしまって。空き教室まで連れていかれました。そして、突然「あいつらとは、もう関わるな」って言われて。叶汰は少し迷った後に教えてくれたんです。私が聞こえてない事を良いことに、私の声が変だとか、こんな声で歌手なんかになれるはずないって、私がいるのにそんな話をしていたみたいなんです』

 その時の叶汰の苦い表情や、クスクスと笑いながら畔を見る友人達の姿。それらが頭に浮かんでくると、畔は胸が締め付けられる思いがした。
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