極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
『あぁ。全くの別人だった』
『……そう』
わかっていた事だった。
畔は緊張して強張っていた肩を下ろした。彼の話は真実だろう。叶汰を信じているし、彼に嘘をつく理由などないのだから。
『まぁ、その前にあいつが偽物だってのはわかっていた』
『え………』
『少し調べた。それと、あの病院でピアノを弾いていたのを偶然見てた。あそこのピアノで頻繁に音楽会をしているらしい』
叶汰もあのピアノを聞いたのだ。
畔は驚きつつも、彼がそこまで椿生の事を調べてくれている事なんて知らなかった。
『だから、病院関係者に聞いてみた。そしたら、ベリーズヒルズビレッジのスタッフの一人だって。病院内の薬剤師らしい』
『薬剤師………』
「まぁ……社長ってのも嘘ではないみたいだけどな」
『え……?』
ボソボソっと手話なしで、叶汰が何かを呟いたので彼に聞き返すが、『なんでもない』と言うだけだった。