極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
4話「星空への願い事」
4話「星空への願い事」
タクシーを降り、到着した公園は街中にある大きな公園だった。そのため、夜にも関わらずに多くの人が訪れていた。それには理由がある。そこには沢山のミュージシャン達が音楽を奏でているのだ。そのまで大きくない音量にして、一定の距離を開けて、皆が音楽を楽しんでいた。
人並みが落ち着いてきた頃には、公園の奥までになっていた。そこは人もまばらで、街灯も少ないためか薄暗かった。
けれど、畔はそんな事は気にせずに演奏の準備をした。と、いっても音楽プレーヤーとスピーカーを繋げ、マイクとプレーヤーと連動しているスマホを設置するだけだった。
他の音楽の振動が微かに体に入ってくる。かなり歌いにくい。けれど、そんな事が気にならないほどに、畔は歌いたくて仕方がなかった。
周りには人は誰もいない。歌い始めても誰も聞いてくれないかもしれない。
けれど、新しい曲には自信があった。
絶対に好きになってもらえる、と。
畔は手元のスマホを操作して音楽を流し始める。音の波である振動を感じた畔はゆっくりと瞳を閉じた。
スマホの画面を見なくても、歌い出しやリズムは体で覚えていた。
畔は口を大きく開けて、歌い始めた。
一目で気になり、恋をしてしまった彼を思って作り上げた、愛の歌を。