極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました

 畔がこくりと頷くと、叶汰は持っていた楽譜をテーブルの上に置いて、しばらく眺めた後に口を開き、そして手話を始めた。
 
 『おまえがネットで友達を探したいって話をしてたから、同じチャットルームでお前を探したよ。ネットからオフ会とかで事件も多いだろ。その時は心配したんだ。で、案の定、おまえは動画で使っていたhotoRiの名前のままの名前でいたから、すぐに見つけられたんだ。そこで俺は海って名前でおまえと話す事にした』
 『昔から叶汰は過保護だったもんね』
 『うるさいな。話すのやめるぞ』
 『ごめんなさい。続きをお願いします』
 『ったく、おまえは…。で、その時にお前から新曲でいい曲が浮かばない。スランプだって相談を受けた』
 『それで、曲を書いてくれたの?』

 畔が我慢できずにそう聞くと、叶汰は首を横に振った。

 『俺が音楽苦手だったのは、畔だって知ってるだろ?』
 『そうだけど。じゃあ、誰が………』
 『もう一人の海』
 『え…………?もう一人って?』
 
 叶汰の言っている意味がわからずに、首を傾げる。すると、叶汰は笑った。
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